「賢治×モリス」のつながりについて③





すみません、遅くなってしまいましたが、
やっと今日「賢治×モリス」の講演会についてのわたしなりの感想、解釈をお伝えできるでしょうか?
(以前と重複する部分があると思います)

書いているうちにわき道に逸れてばかりで、どんどん長くなっては削り、長くなっては削り、と、そんなことをしているうちに今日になってしまいました。

先日のお話しの続きをいたしましょう。


下が、昭和2年竣工の岩手県公会堂です。
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日比谷公会堂と、設計者が同じ、とのこと。(写真はお借りしました)

「セロ弾きのゴーシュ」は、この建物の大ホールをイメージして、書かれたらしいですよ。
ゴーシュたちのいた、控室をのぞいてみたいものです。

 

こちらが、「賢治とモリス」のつながりについての講演会が行われました旧大食堂 21号室です。
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壁紙がモリスのコンプトンなのがわかると思います。

6年前、その 21号室改装復元にあたり、 昭和初期の壁紙が、過去の白黒写真により モリスの「苺泥棒」に似ているというので、 モリスデザインの壁紙が候補にあがったらしいのです。
苺泥棒は、あまりに有名すぎて、<盛岡>設計同人所長さんの好みにより、「コンプトン」にしたとのこと。



今回の講演者 大内秀明氏は、東北大名誉教授。ご専門は日本経済論、マルクス経済学。仙台市青葉区作並に「賢治とモリスの館」を一般公開していらっしゃいます。
わたしは、この講演会の内容を より理解したいため、 大内秀明氏の著書 「賢治とモリスの環境芸術」をネットで取り寄せ 事前に予習をいたしました。偉いでしょ?笑





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ちょっと、余談を~♪


講演会をより楽しむため、羽織物の襟に、 春にコンプトンの余り布で作っていたコースターを三角に折り、 ピンでとめて、ブローチにして会場へ。
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恥ずかしいくらい、テンション上がりまくりですね?笑



また、20年以上使っている真っ黒のカメラケースには、おしゃれに苺泥棒の布を。

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こんな素晴らしい会場で、モリスと賢治についてのお話が聞けるとは、なんという贅沢な時間をいただいたのでしょう!
わたしにとっては、ほとんど夢見ごこちの時間で、終わってからもしばらく余韻が続き、ふわふわした状態でおりました。
大内氏のご専門はマルクス社会主義ですし、賢治研究でも深く深く掘り下げて研究なさっていますし、難しい部分もありましたが、わたしはブログに今回のことをアップする義務のようなプレッシャーを感じておりましたから、しっかりメモしながら、集中して耳を傾けて、聞いていましたよ。
事前の予習で、理解できなかったところなども、少しはわかったように思えます。ほんと?




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わたしの、モリスとの出会いは、何度も書いておりますとおり、
「すぐれたガーデナーは、野鳥に想いを馳せるべし」というモリスの言葉をガーデナー&デザイナー・吉谷桂子さんのブログ(2011・8/21)
で見つけた時でした。その時も、「モリスと賢治につながりがある!」とわかった時と同じように、電光の走るような(賢治的表現?)衝撃がありましたよ。庭にやってくる鳥たちと いい時間を過ごせるようになっていた時期でもありましたし、自分の庭造りの方向性が明るく見えたような気がしたのでした。

というわけで、わたしの場合は、テキスタイルからモリスを知るという一般的パターンではありませんでした。


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あらあら~、お話がわき道にそれそうなので、まずは理解した結論からお教えしましょうね。




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宮沢賢治が岩手国民高等学校で講義した「農民芸術概要綱要」の中の 

「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ」

に、賢治はわざわざモリスの言葉

Morris “Art is man’s expression of his joy in labor”
(モリス “芸術は労働における人間の喜びの表現である”)

と英文でメモ書きしていた。

    ☆☆☆☆☆

つまり、賢治は、モリスの本を読み、影響を強く受けていた、という事実がそこにあったのです。

また、モリスは代表作「ユートピアだより」で、共同体社会の理想郷を描き、賢治は古里岩手を理想郷「イーハトーブ」とし、大内氏はこのことも、思想的共通点であると。
そして、賢治は、モリスの亡くなった1896年に花巻に生まれている。
大内氏曰く、「賢治はモリスの生まれ変わりである!」と。



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作品に記されていたという事実は、わかりました。
でも、その賢治の「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ」
とか、モリスの「芸術は労働における人間の喜びの表現である」
とは、どういうことなのでしょう?

ウィリアム・モリスは、産業革命の時代19世紀後半、機械化による大量生産、大量消費を批判し、中世の職人の手仕事によって生まれる美しい空間を理想とし、労働の喜びを見直す「アーツ&クラフツ運動」(芸術&手仕事の運動)を起こしました。つまり、「芸術は労働における人間の喜びの表現である」ということにつながりますね。
彼は、芸術家、詩人、の他に、社会主義運動家でもあったのです。


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今回、モリスを勉強したことにより、
彼のデザインしたモチーフ、植物や鳥への熱い想いへの原点、
モリスとイギリスの観光地コッツウォルズ地方との関係、
コッツウォルズがなぜ、あの美しい風景を現代まで保つことができているのか、
等々、

ここ数年、わたしがガーデナーとしていろいろ勉強してきた中に出てくるキーワード、点でしかなかったワードが、線で結ばれてきて、そして、線が面となりつつあり、かなり頭の中がすっきりと整理されてきています。
なので、イギリスはじめヨーロッパの写真をたくさん載せているガーデン雑誌等を改めて見直してみますと、今まで写真だけ見てきれい~!と過ぎていたそのページの解説1行1行に歴史を感じ、内容にいちいちフムフムと、納得している自分がいるのでした。


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あ~また、お話が逸れてますね~

賢治のこともそうです。
幼いころより賢治と共に教育され、育ってきているようなわたしたち、地元の人間も、童話は知っていても、彼の深い思いまでは、難しそうで入り込めずにいました。
賢治の「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ」という言葉も、難しく、そこは集中して大内氏のお話を聞いていました。

賢治が始めた私塾「羅須地人協会」では、農業青年を集め、植物生理学や講義、農業指導などに加え、芸術論の講義やレコード観賞会や楽器演奏といった文化活動も楽しんでいました。

当時、生徒さんだった方のお話によりますと、
賢治先生は
「大昔は、人間はみな百姓でした。当時の百姓の生活には歌もあり、踊りもあり、芝居もあったのです。世の中が進むにつれてそれらのものはみな職業芸人に横取りされてしまって、百姓にはただただ生産労働だけが与えられるようになったのです。これからの百姓は芸術をとり戻して楽しく働くようにならなければなりません」とおっしゃった。

つまり「芸術をもてあの灰色の労働を燃やせ」に繋がるのではないでしょうか?


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賢治研究家の赤田秀子さんも
「モリスも宮澤賢治も、それぞれの環境の中の自然の動植物から新たな世界を構築して、我々を魅了するのである。それを享受できることは、経済ではまかなうことのできない精神の贅沢さでもある。」
とおっしゃっています。

最近、赤田さんが出された「イーハトーブ・ガーデン ―宮澤賢治が愛した樹木や草花ー」の中の植物のお写真全てが、それはそれは、美しく、それだけでも感動ものなのですが、さらにお写真を見ていると、賢治独特の文章で表現された植物たちが、動画のように動き出すから不思議です。


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ガーデナー目線からの補足です。モリス同様、賢治も多彩な才能を持ち合わせていました。綜合花巻病院には、彼がデザインした有名な花壇もあります。日時計花壇も設計しています。賢治が愛したバラ、グルース・アンテブリッツにまつわるお話もあります。絵も描き、作曲もし、クオリティーの高い総合アーティストだったのです。





そういう賢治の言うイーハトーブに住んでいることを誇りに思い、また、モリスにもこれまで以上の憧れをいだきながら、わたしは、連休中、秋晴れの中、来年の庭の構想を想い、庭仕事に精を出しました。


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長年ずっと悩み続け、やっと今年、和の植物と洋の植物とのコラボレーションが違和感なくできそう!というところまで来れたように思っています。


無理やりのこじつけでこのお話を締めくくってみましょう。笑

今回「賢治とモリスのつながり」を知り、来年は、「和と洋とが自然に美しくつながる庭」、和の庭でもなく、イングリッシュガーデンでもなく、「わたし流の庭」に自信を持ち、楽しみながら造っていきたい、というところにたどり着いた今日この頃の出来事でした!



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やはり、長くなってしまいました?
最後まで、読んでくださって、ありがとうございました。

ところで、みなさんご存じとは思いますが、「イブハト・ibuhato」とは、イーハトーブを語るには未熟すぎるわたしですので語順を変えて、「イブハト」(語尾が鳥のハトで更に楽しい)にしたものでした。
賢治先生、笑いながらも許してくださっていると思いますが、、、、。






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